農業遺産は、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ及びシースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、伝統的な農林水産業を営む地域(農林水産業システム)を認定する制度であり、国連食糧農業機関(FAO)が認定を行う世界農業遺産と、農林水産大臣が認定を行う日本農業遺産がある。
日本農業遺産は、世界農業遺産の国内版として農林水産省が平成28年に創設した制度で、第1回の審査では8地域が認定され、静岡県わさび栽培地域もその1つである。
認定基準は、世界農業遺産に準じ、伝統的な農法が継承されていること、文化を伴うこと、生物多様性があることなどが考慮されるが、国内版では、災害時に対する回復力があること、多様な主体が関わっていること、6次産業化を推進していることなども基準に盛り込まれている。
平成30年3月、「静岡水わさびの伝統栽培」が世界農業遺産に認定され、現在、世界農業遺産に認定されているのは、19カ国49地域となっている。このうち国内では、静岡県わさび栽培地域のほかに茶草場農法を継承する静岡県掛川周辺地域など、11地域が認定されている(平成30年3月現在)。